医療技術」カテゴリーアーカイブ

ゲートタワーIGTクリニックに訪れる患者の多くは、

手術や放射線など治療はできないと言われた末期のがん患者ばかり

 

ゲートタワーIGTクリニック:堀信一が行うのは、動脈塞栓術

がん細胞は栄養を摂るために新しい血管を作らせている

その栄養を送る血管を塞ぐことで がんを弱らせ死滅させる

 

●がんを兵糧攻めして死滅させる動脈塞栓術

CTスキャンと血管造影機で患部の3D画像を作成

がんに栄養を運ぶ動脈を割り出す

脚の付け根の動脈から細くしなやかな管:マイクロカテーテルを挿入

血管の中をたどって患部に到達させる

血管の内側には痛みを感じる神経がないため全身麻酔が必要ない

注射器をカテーテルにあてがい、抗がん剤を注入し患部に流し込む

抗がん剤に含まれる小さな粒子が血管を塞ぐ

これで栄養を送る血管は断ち切られ、がんは弱っていく

抗がん剤が全身に広がることはない

 

脳腫瘍、白血病、眼腫瘍などは治療できない

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筋肉が萎縮し衰えていく難病:筋ジストロフィー

国内患者は2000人で根本的な治療は まだない

 

京都大学iPS細胞研究所:堀田秋津の研究

 

筋ジストロフィーの患者から作ったiPS細胞を

筋肉細胞に育てると筋ジストロフィーになってしまう

原因となる遺伝子を変えなければ正常な筋肉はできない

堀田は細胞の中の遺伝子手術を試みる

 

●ゲノム編集

筋ジストロフィーの患者から作ったiPS細胞に、

ハサミの役割を持つたんぱく質を入れる

そのハサミがDNAを目指して飛んでいく

病気の原因となる遺伝子は分かっていて、

それを探してくっつくように設計されている

するとそのDNA配列の一部をカット

 

病気の原因を取り除いたiPS細胞から健康な筋肉細胞を作り、

将来 治療に役立てようと考えている

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●生田和良が開発するデング熱の特効薬

大阪大学 微生物研究所:生田和良 教授が研究

政府開発援助:ODAの一環として特効薬開発に着手

生田らの開発チームは、デング熱の発症者の多いタイに渡った

 

現地の医師らとウイルスを無効化する

抗体を作る抗体医薬を目指したが、

当初、培養すらできない状況が続いた

慣れていないため基礎の技術を高める必要があった

現在、タイの患者の血液を使って

デング熱に有効な抗体を製造する段階に入った

 

製造した抗体を人に治療薬、

もしくは予防薬として使う臨床試験に入る

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年間100万人も命を落とす熱帯熱マラリア

熱帯熱マラリアは年間100万人の死亡者を出す

その7、8割は、0~5歳の子供達ばかり

 

そもそもマラリアはウイルスでもなければ最近でもない

それはマラリア原虫という寄生虫

髪の毛の1/10ほどの大きさの寄生虫が、

ハマダラカを媒介し体内に入り込む

マラリア原虫は まず肝臓に取り付く

3日~1週間かけて数千倍に増殖

そして赤血球に寄生し、破壊していく

破壊活動を続けながらマラリア原虫は さらに増殖

赤血球が破壊するときに有害な物質が出ることで40度近い高熱を発する

さらに感染した赤血球が血管に詰まることで

腎不全、肺水腫、脳障害を引き起こし、最悪の場合 死に至る

 

マラリア原虫には抗体が攻撃する標的が数千種類も存在し、

さらにそれが原虫ごとに事あるという

一つのマラリア原虫でワクチンを作っても

他の原虫が現れると標的が変わるため攻撃ができない

そのためマラリアワクチンは不可能に近いと言われてきた

 

大阪大学微生物病研究所:堀井敏宏は、

マラリア発生地であるにかかわらず

マラリアに発症しにくい人がいることに注目

ウガンダやソロモン諸島で彼らの血液を調査した

あらゆるマラリア原虫に攻撃する抗体が存在するのでは、と考えた

 

アメリカに留学していた時に

偶然 発見したマラリア原虫のSEARと呼ばれる標的

 

調べを進めると、たまたまSEARに対して免疫を獲得した人は、

マラリアに感染しないことが分かった

数千種類の標的を持つマラリア原虫だが、

すべてにSERAという同じ標的が存在するのではないか?

 

そこで堀井は、世界中から445種もの

マラリア原虫を集め、何百と解析を繰り返した

するとすべての原虫が同じSERAを持っていることが分かった

人工的にSERAに対する免疫を誘導すればマラリアに感染しなくなる

 

132人の臨床試験で72%の予防効果が確認された

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●糖尿病を500円で測定できる足立区の糖尿病診断アクセス革命

 

・梅田調剤薬局:東京都足立区

自己採血:指の腹を消毒して乾いたら採血針で血を採る

容器入れた血を検査器にかける

測定時間は一人当たり約6分

 

測定するのは血糖値ではなくHbA1c(ヘモグロビンA1c)

過去1~2か月の血糖値の平均を表しているので

その日の食事などに左右されない

 

6.9%以上は糖尿病予備軍

6.5%以上は糖尿病の疑いが強い

 

HbA1cはこれまで病院など限られた場所でしか測れなかった

指先採血HbA1c測定機器:A1c GEARを株式会社サカエが開発したことで

2015年5月から足立区では薬局での糖尿病簡易測定をスタートさせた

 

足立区民であれば1回500円、区民以外は1回1000円

薬局は簡易測定で疑いの強い人が

病院を受診すると足立区から報酬として区から500円が受け取れる

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夢の扉+で紹介

医学とは畑違いの農学博士:鈴木幸一(岩手大学)

専門は繭から生糸が取れるカイコ

蚕のさなぎに菌を植え付けて作るカイコ冬虫夏草

 

●メカニズム

2010年、鈴木はカイコ冬虫夏草が

老化したマウスの脳を回復することを発見した

傷ついた神経細胞にできる瘡蓋のようなグリオーシス

これがあると神経の伝達が悪くなってしまう

カイコ冬虫夏草を与えたマウスはグリオーシスが消えた

人の認知症に応用できるかもしれない

 

カイコ冬虫夏草に含まれる何らかの物質が

脳へ運ばれると栄養細胞が増え、患部に栄養を送る

するとグリオーシスが消え、

神経の伝達がよくなり認知機能の改善につながるのでは?

 

鈴木は、カイコ冬虫夏草の1万種もの物質から、

その最有力候補を突き止めた

まだ名前は付けられていない

 

●臨床試験

2013年に岩手医科大学附属病院で、

鈴木の仮説を実証すべく先行臨床試験が行われた

担当したのは寺山靖夫 教授

認知症治療薬を服用中のアルツハイマー型 認知症患者9名

そのうちの4人にカイコ冬虫夏草を服用してもらった

髄液を採取してアセチルコリンの量を比較

認知症の人はアセチルコリンの量が減っていることが分かっている

半年後、カイコ冬虫夏草を飲んでいる群の方が、

統計的に優位にアセチルコリンが増えていた

 

さらに2014年9月、臨床試験が行われた

アルツハイマー型認知症を診断された男性の症状は、

計算力の低下や新しいことが覚えられない

カイコ冬虫夏草の粉末を1日2回服用

服用を始めて3か月、1万円札でしか会計できなかった男性は、

きちんと小銭で支払うことができるようになった

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夢の扉+で紹介

シミやシワといった老化の主な原因は、

体を錆びさせる活性酸素とされてきたが、

近年 老化に関わる物質:終末糖化産物が明らかに、通称:AGE

AGE研究の第一人者:山岸昌一 久留米大学医学部 教授

 

●顔が老けている人は体内も老けており寿命が短い

タンパク質に糖を入れて、人間の体温と同じ温度で保存する

1週間後、無色透明だったタンパク質が茶色に変色

タンパク質と糖が結び付くと体温で徐々に焦がされAGE化する

AGEになると排出できなくなり体内にドンドン蓄積されてしまう

茶色いAGEはシミやくすみを生む

コラーゲンがAGEになると弾力が失われ、たるみやシワを生む

血糖値が高い人ほどAGEが多くつくられる

AGEの差が、見た目の老け具合に大きく影響を与えている

血管のコラーゲンが硬くなると脳梗塞や心筋梗塞の一因となる

また骨のコラーゲンが硬くなると骨粗鬆症を引き起こす

さらに脳に溜まったAGEがアルツハイマー病の一因との説も…

 

●AGEの摂取

蒸した鶏肉のAGEを1とすると、焼いた鶏肉は5、から揚げは10

一番多いのは、カリカリベーコンで100

水を使わずに高温で調理する食べ物にAGEが多い

1、食べ方

野菜→おかず→ご飯の順で食べると

血糖値の急上昇をを抑えAGEが生まれにくい

2、食べ物

食物繊維が多い海草や野菜は、

糖質の吸収が緩やかになるのでAGEの発生を抑える

3、トマトやホウレン草に含まれるαリポ酸は、

AGEの蓄積を抑える効果がある

4、ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンは、

より強い効果があると分かった

 

●体内からAGEを取り除くアプタマー

通常AGEは様々な異物を除去する白血球の対象となりにくい

しかしアプタマーという物質がAGEにつくと

白血球は異物とみなし除去してくれる

その1/1000兆からアプタマーを見つけ出し、

人の血液からAGEを除去する事を目指している

 

●5年以内にアプタマーでAGEを減らす薬の開発を目指している

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夢の扉+で紹介

筋肉からは様々な物質が分泌され、

体を守っている事が近年明らかになってきた

首都大学東京:藤井宣晴 教授は、筋肉研究のスペシャリスト

藤井いわく「筋肉は健康を生む源の臓器」だと言う

 

●筋肉から分泌される寿命を延ばすホルモン

藤井はホルモンを筋肉細胞から20種類も発見した

筋肉の常識を変えるほどの発見だった

藤井はその役割を突き止めようとしている

例えば、人は疲労やストレスなどによって体が錆びつき老化する

体の錆びを除去するホルモンが筋肉から分泌されていた

このホルモンをショウジョウバエに

投与したところ、寿命が25%も伸びた

筋肉から出るホルモンが人の寿命をも延ばすと考えている

 

●筋肉から分泌される物質の効果

筋肉が生み出す物質はホルモンだけではない

それらの物質で新薬を作ろうと世界中で研究が進められている

内閣府 最先端・次世代研究開発支援プログラムが開始した

・寿命が延びる

・大腸がん、乳がん、子宮がんなどの発症リスクが低下する

・アルツハイマー病、脳卒中、うつ病の予防

 

●血糖値を下げるAMPキナーゼ

血糖値が上昇すると糖尿病を引き起こし、

脳卒中や心筋梗塞になるリスクが高まる

藤井は血糖値を下げる物質を世界で初めて筋肉から発見した

・AMPキナーゼ

人間が行う様々な行動にAMPキナーゼは、

必要に応じて糖を分配する役割を担っている

糖の在庫が無くなった時、AMPキナーゼを活性化させると

血液から糖を調達、結果 血糖値を下げることを突き止めた

90年前に発見されたインスリンに次ぐ大発見

今、AMPキナーゼを活性化させる新薬の開発を進めている

 

●AMPキナーゼを活性化させる運動

少し速めのジョギングを10分で活性化される

運動が苦手な人は、汗が出るか出ないかのスピードで30分、

スローなジョギングをすると同じ効果が期待できる

寝た状態で、ダンベルを上下させる程度の運動でも効果が認められた

●筋肉量が減った男性は維持した人に比べ、病気による死亡率が2倍に

特に呼吸器疾患による死亡率は2.6倍も高かった

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夢の扉+で紹介

●針が無い注射:インジェクションバブルメス

針の無いスポイトのような注射器

1/1000mmの泡を発射しさせ、

皮膚に小さな穴をあけ、薬剤を注入する

インジェクションバブルメスという

開発するのは芝浦工業大学 准教授:山西陽子

 

先についた電極が薬剤の中で

電気分解を起こし、小さな泡を発生させる

一般的な注射針は直径0.5㎜、

インジェクションバブルメスがあける穴は、0.06㎜しかない

 

元々は電気メスの小型化を目指していた

それを細胞に穴をあけられるくらい

小さくできれば先端医療にも貢献できる

3年後、メスの先端が吹き飛ぶというアクシデントが起きた

何が起きたのか?確認すると小さな泡が先端を破壊し、

泡は細胞に穴をあけていた

この偶然の発見がキッカケだった

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大阪医科大学 がんセンター特務教授 宮武伸一

放射線治療で世界一の臨床経験を持つ脳外科医

彼が行うホウ素中性子捕捉療法は、

他に手立てがなくなった患者に対する最終手段

●ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)とは?

がん細胞に取り込まれやすい性質を持つホウ素化合物薬剤を点滴

ホウ素が がん細胞に行き渡ったところで

原子炉から放射線の一種:中性子を当てる

中性子はホウ素に当たると細胞1個分の規模で核分裂し、がん細胞を破壊

ホウ素を取り込まない正常な細胞は傷付く事はない

患部の中のがん細胞を狙い撃つ画期的な方法

・京都大学原子炉実験所:大阪府泉南郡熊取町朝代西2-1010

ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士が中心となって創設

 

●BNCTを研究している主な医療機関

脳腫瘍、頭頸部ガン、肝臓がん、肺がん、皮膚がんなど

総合南東病院、筑波大学、国立がん研究センター、大阪大学、徳島大学

京都大学原子炉実験所、大阪医科大学、大阪府立大学、川崎医科大学

 

●小型加速器によるBNCT専門の医療センター

住友重機械工業 粒子線プロジェクト:矢島暁

従来のBNCTは原子炉を使った治療照射で大きな敷地を要するものだった

一般病院にも十分設置できるように小型の加速器を開発

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