バイオ技術」カテゴリーアーカイブ

石油由来のプラスチックは、半永久的に分解されない
そこで期待されているのが石油を使わないバイオプラスチック
しかし植物由来のバイオプラスチックは、
強度が低く、溶ける温度が低い
 
●遺伝子組み換え大腸菌から造られるバイオプラスチック
 
開発したのは、
北陸先端科学技術大学院大学:金子達雄 教授
筑波大学:高谷直樹 教授
 
強度は、ガラスの3倍以上、鋼材にも負けない強度を誇る
溶ける温度はなく、分解温度が425度
 
プラスチックの原料に似た物質を作るシュードモナス、
それを原料そのものに変換する赤色酵母の遺伝子を
扱いやすく増やしやすい大腸菌に組み込み、
ブドウ糖を栄養に数億倍に培養、
するとプラスチックの原料となるアミノ桂皮酸を造り出す
 
シュードモナスは、傷口を緑色に化膿させる細菌
赤色酵母は、洗面台などに出来る赤カビの正体

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フォーメンステーション:酒井里奈
テレビでバイオエタノールを生ごみから作る技術を知った
大手銀行の総合職を辞めた 酒井は、
バイオエタノールの研究をするため32歳で東京農業大学に入学
2009年、岩手県奥州市から大学に米から燃料を作りたいと依頼
減反政策のせいで米を作りたくても作れない農家からのSOS
岩手へ通う日々が続いた
農家が米を作り、酒井が実験を繰り返す日々
3年後 濃度99%以上のエタノールを米から作りだすことに成功
●製造コスト
燃料は、1リットル100円を切らなければ事業化は見込めない
しかし、お米エタノールの製造コストは、1リットル1万円以上
酒井は諦めない
エタノールは燃料だけでなく化粧水、香水、
シャンプーの原料に使われている
エタノールで新しい化粧品ブランドを作る事を決意
●事業化
エタノール作りで出る残りカスは、肌に良い酵母や米ぬか
酒井は、それを原料に1個2000円の洗顔石鹸を作った
地元で採用した社員と共にお米エタノールで商品開発
虫が嫌う天然成分を配合し、
敏感肌でも使える虫よけスプレーを開発
やがて化粧品の原料に使いたいと様々なメーカーから注文が入るように

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●NASAも米軍も断念した人工クモ糸

人工クモ糸を生産するスパイバーの代表取締役:関山和秀

クモの糸は自然界屈指の丈夫な物質

 

・タフネス比率

鋼鉄:0.8、アミラド繊維(防弾チョッキなど):36、

アメリカジョロウグモ:85、ニワオニグモ:123、

ダーウィンズパークスパイダー:272

同じ大きさと密度なら鋼鉄の340倍の強靭さ

計算上、直径1㎝のクモの糸なら縦横500mのクモの巣で

ジャンボジェットの力を抑えられる

細くて柔らかい、それが人工クモ糸

 

●生産

クモは共食いするため養殖できない

クモが出す糸の材料は、タンパク質

クモ糸のタンパク質を微生物に作らせる技術を確立した

微生物からタンパク質だけを取り出し、クモ糸の原料にした

タンパク質を特殊な液体で溶かし、細い穴から絞り出す

タンパク質100%、石油を使わない線維

 

●用途

・人工クモ糸で編んだ人工血管

タンパク質なので人体への影響が少ない

・フォルム

人工クモ糸は多様な加工が可能で新素材として展開

 

関山の夢は、身の回りにあふれる石油製品を人工クモ糸で作ること

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●完全オーダーメイドの美肌菌化粧品

 

腸の中と同じように肌にも善玉菌と悪玉菌が存在する

中でも表皮ブドウ球菌が、肌を保湿、弱酸性に保ってくれ、

別名:美肌菌とも呼ばれる

 

客の一人一人から採取した美肌菌を使って

提供する完全オーダーメイドの化粧品

 

・バイオジェノミクス:長崎県大村市雄ケ原町147-40

東京女子医科大学や長崎国際大学と共同研究し、特許を所得

 

客から採取した美肌菌を培養してパウダーに加工

10億個の美肌菌が入ったパウダーと一緒に化粧水を使い肌に戻す

 

完成までに45日間、価格は半年分で60万円

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●人がコントロールすることができる昆虫サイボーグ

 

シンガポールのナンヤン工科大学の佐藤裕崇氏が、

人が操ることができる昆虫サイボーグを開発した

 

カナブンの羽ばたきを電気信号で制御

今ではカナブンの飛ぶ方向もコントロールできるようになったという

 

背中に取り付けた1~1.5gの無線装置から6つの電極が出ており、

飛行、左右への旋回を無線操作できる

 

昆虫サイボーグは、災害時 無人飛行機でも入れない現場で調査を行ったり、

救難目的に応用する研究が進んでいる

装置を取り付けても昆虫は本来の虫の寿命を全うできるという

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冷凍した肉や魚は、ドリップによって味が落ちてしまう

葉物野菜は食感が悪くなるのが当たり前

●不凍多糖を使用した凍らせない冷凍技術

 

氷点下でも食品を凍らせずに美味しさをそのまま残す

 

開発したのは関西大学 化学生命工学部 河原秀久 教授 冷凍すると食材の中にある水分が凍る

次第に氷の結晶が大きくなり食材の組織を破壊してしまう

解凍しても壊れた組織が戻らないため、

その隙間から水分と旨みが流れてしまう

これが食感を悪くし、味を落とす原因 アラスカに棲息するアラスカ甲虫は、

キシロマンナン資質という凍らない物質を持っている

 

河原はこの物質と似た化合物をエノキタケから探し出した

エノキタケから抽出した天然物質

味も匂いもなく安心安全、河原は不凍多糖と命名した

 

河原は現在 凍らせない冷凍の研究を進めている

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開発したのは農業生物資源研究所:瀬筒秀樹

 

直径1mmの蚕の卵に1/100㎜の細い針を使って

光るオワンクラゲの蛍光タンパク質を作る遺伝子を注入

蚕の染色体の色々な場所に蛍光タンパク質の遺伝子を組み込んだ

 

組み込んだ場所によって蚕の光る場所が変わることが分かった

 

体が発光、目が発光など、試行錯誤を繰り返してノウハウを蓄積

そして光るシルクの開発に成功した

 

 

この技術を応用し、

クモの糸の遺伝子を組み込んで作ったのが、クモ糸シルク

 

クモの糸が持つ切れにくい特性を受け継ぎ、

強度が普通のシルクの1.5倍

蚕に薬の原料を作らせる事もできる

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大腸菌が持つ4700の遺伝子のうち、

4300の遺伝子の役割が解明されてきた

 

それにより遺伝子組み換えした大腸菌を増殖ささせて、

任意の物質を大量に作れるようになった

 

●大腸菌を改良しペットボトルから没食子酸を生み出す

 

開発するのはバイオベンチャー:ジナリス

没食子酸とは、植物由来の薬品で液晶テレビなどに使う

半導体製造に欠かせない高価な薬品

 

それを石油由来のペットボトルのゴミから大腸菌を活用し作り出す

ペットボトルを食べる遺伝子を微生物から取出し、大腸菌に組み込む

その大腸菌を増殖させ、大腸菌にペットボトルを食べさせる

するとペットボトルが生物変換を起こし、没食子酸を生み出す

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