宇宙航空技術」カテゴリーアーカイブ

旅客機で初めて音速の壁を超えたコンコルド

マッハ2のスピードでニューヨーク ロンドン間を

現在の半分 3時間半で結んでいた

しかし超音速飛行によって発生した

衝撃波が2回の爆音(ソニックブーム)を生む

その騒音にコンコルドは陸地で超音速を出すことを禁じられ、

飛べたのは海の上だけ、おのずと飛行ルートは限られていた

さらに燃費の悪さも手伝い、2003年、引退に追いやられた

 

●静かな超音速旅客機

JAXA D-SENDプロジェクトチーム:吉田憲治

50人乗りで重量比コンコルドの半分以下、

ソニックブームを1/4に減らすことを目指している

 

空気が振動して波紋ができる、それが音波

音速は、気温15度の標準大気において1225㎞/h、これがマッハ1

音速以下で飛ぶ飛行機の場合、空気でできた音波が機体を囲む

音速を超えると音波が機体の後ろに置いていかれる

音波の淵が連なるところに衝撃波が生まれる

衝撃波は機体の色々なところで発生し、

それが合わさってN型の波形となり地上に2回の爆音となって聞こえる

 

D-SENDプロジェクトチームは、

ソニックブームの原因となる衝撃波をあえてもう一つ発生させた

機体の底にうねりを作り、もう一つの強い衝撃波を作り、

複数の衝撃波を分散させ、ソニックブームを衝撃波を抑えた

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夢の扉+で紹介

薄さ0.1㎜のプラズマアクチュエイタを

貼るだけで空調機器の性能が上がり、

風通しの悪い部屋にも心地よい風が吹き抜けていく

 

電車が通過する際は、強い風圧を弱めてくれる 飛行機が飛ぶとき、翼に沿って気流が流れないと

十分な揚力を得られず失速してしまう

 

翼にプラズマアクチュエイタをつければ

飛行機はより揚力を得てもっと安定して跳べる 原理は、1960年代にロシアの研究者が基礎を提言

JAXA宇宙科学研究所 工学博士:藤井孝臧は、

この基礎を実用化しようとしている

 

●プラズマアクチュエイタのメカニズム

薄い2枚の電極に電圧をかけるとプラズマが発生

そのプラズマが、イオンが動いて乱れた空気を吸い寄せる

 

●プラズマアクチュエイタの応用

・風力発電

風向きや風の強さに影響され、安定した電力を供給しにくい風力発電

風車の羽根にプラズマアクチュエイタをとりつけるだけで

回転数が10倍以上に跳ね上がる

 

・電車通過時の強風も制御する

電車にプラズマアクチュエイタをつければ、

そばに立っていても風を弱くすることが出来る

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漁網の老舗日東製網株式会社がJAXAの依頼で宇宙ゴミ用の網を開発

 

●宇宙ゴミを除去する導電性テザーシステム

 

宇宙には使われなくなった人工衛星など大量にゴミが存在し、

それが超高速で飛んでいるためとても危険とされている

 

そこで それを除去するため、導電性テザーシステムを計画

 

飛んでいる宇宙ゴミに電気が流れる長い紐:導電性テザーを取り付け、

それに電流を流すと、地球の磁場に影響し、

高度を下げさせ、大気圏で燃え尽きさせる

 

しかし一本の紐だと小さいゴミがかすっただけで簡単に切れてしまう

そこでJAXAが目をつけたのが、漁網

漁網のように網状にする事ですぐに切断されるのを防ぐ

そして魚網製造のトップクラスを誇る日東製網に製造を依頼

従来の漁網の技術に改良を重ね、網状の金属製の紐の開発に成功

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夢の扉+で紹介

人工衛星を製造し打ち上げるまでの費用は数百億円

それをわずか3億円で実現するベンチャー企業

中村友哉CEOが率いるアクセルスペース

その製造拠点は都心のビルのワンフロアーにある

手造りのクリーンルームで作られているのは、50㎝四方の超小型衛星

打ち上げまでにかかる期間も

JAXAの「だいち」9年に対し、2年以内が目標

その費用は470億円に対し、3億円

 

内閣府と東京大学が薦める地球観測プロジェクトの

「ほどよし1号」の製造を多掛けている

地上をカメラで観測する事が主な目的

 

●人工衛星の製造費を1/100にした秘密

例えば、人工衛星の角度が1度狂っただけで

地上の撮影ポイントは10キロもズレてしまう

中村らは誤差 数百万分の一度のセンサーを自ら作り、開発費は850万円

その他にも主要な機器の多くを自分たちで開発する

大型の衛星と違い、搭載する機能を必要最小限に絞り開発期間も短縮

小さくて軽い衛星は、大型衛星の打ち上げに相乗りさせてもらえる

 

2013年11月21日、「ほどよし1号」をロシアで打ち上げ

しかし切り離された「ほどよし1号」は予定の軌道を外れ、

想定以上の強い放射線を浴びたことで姿勢を制御するセンサーが故障

「ほどよし1号」は失敗した

 

2014年11月6日、「ほどよし1号」をロシアで打ち上げ、分離に成功

午後8時56分、「ほどよし1号」からの信号が届いた

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夢の扉+で紹介

●はやぶさ2の衝突装置と推進計スラスタ

水や有機物を含んでいると思われる太陽系の小惑星1999JU3

はやぶさ2のミッションは、小惑星1999JU3から石や砂を持ち帰ること

そこに生命の起源がある

到着するとはやぶさ2は、衝突装置を切り離す

その装置が上空で弾丸を発射し、表面にクレーターを作る

そこへはやぶさ2が着陸、小惑星1999JU3の地中の物質を採取する

 

衝突装置はステンレスのケースと銅のふたから成り、中に火薬が入っている

火薬の爆発力で銅のふたが吹き飛び、秒速2000m/hの弾丸となり衝突する

衝突装置を開発したのが、火薬を扱う日本工機株式会社

普段火薬を使うのは採石場やトンネルの掘削などで、宇宙の仕事は初めて

 

ステンレスのケースと銅のふたを削り出したのは、

精密機器の加工を得意とするタマテック

求められたのは4年もの間、宇宙を旅する強度とはやぶさに搭載するための軽さ

ステンレスの塊を極限まで薄く削る、その厚さは約1㎜

 

ステンレスケースと銅のふたの溶接したのは、東成イービー東北株式会社

電子ビーム溶接加工機を使用した

 

銅のふたを真っ直ぐ吹き飛ばすためには中に詰める火薬がカギとなる

そこで少量でも爆発力の高い粘着質の火薬を選択

最も大切なのは火薬の密度を均一にすること

爆発エネルギーは波のように伝わる

波の先端が中心にあたる事で銅のふたは弾丸の形になって真っ直ぐに飛ぶ

 

全12基搭載された噴射口からガスを吹き出し、

はやぶさ2の姿勢を制御する推進計スラスタ

開発したのが熊本県のナカヤマ精密

スラスタの心臓部:燃料噴射装置

一般的な噴射装置は酸化剤と燃料を混ぜガスを複数の穴から噴射する

もしその穴が同じでなかったら噴射の勢いが変わってしまう

そうなると機体は制御困難に

それは職人技による仕事で、JAXAも極秘扱いにするほどの技術だった

材質や形状を見てドリルの刃先を磨き、120度に削りあげる

磨いたドリルで穴をあけると削りカスが左右均等に

標準仕様のドリルとはまるで違う

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●日本初の民間ジェット機:ホンダジェット

・ホンダ・エアクラフト・カンパニーのCEO:藤野道格

ビジネスジェットと呼ばれる小型飛行機で定員は6名

 

 

1984年、大学を卒業した藤野は本田技研工業に入社

その頃、会社が始めたのがジェット機開発

 

1986年、基礎技術研究センターを設立し、飛行機の開発を本格的にスタート

会社のエンブレムの翼は、「いつかは空へ」という創業者:本田宗一郎の夢でもあった

入社2年目の藤野は、ジェット機開発のプロジェクトメンバーに抜擢された

藤野はプロジェクトの拠点となるアメリカに渡る

 

1993年、実験機MH-02の飛行に成功

ところがバブル崩壊後の急速な円高と日米の経済摩擦により、

手応えを感じ始めていたジェット機開発が中止の危機に

 

プロジェクトの継続のため藤野は資料を作成し経営会議に乗り込み、

世界で急速に伸び始めていたビジネスジェットの開発を提案

 

●エンジンの位置

それまでのビジネスジェットのエンジンは胴体に取り付けるのが常識

エンジンを支える部品があり機内の後方スペースが狭い

藤野は、そのエンジンを翼に乗せた

翼にエンジンを乗せると胴体の内側で支える必要がなくなり機内後方を広々と使える

さらに風洞実験により燃費や速度の向上につながることも分かった

燃費の良いコンパクトな機体、それでいてゆったりとした客室を実現

 

1999年、藤野はホンダ・エアクラフト・カンパニーの社長に就任

 

2003年、翼の上にエンジンを置いた実験機が完成

 

2012年、米国航空宇宙学会 エアクラフト・デザイン・アワード受賞

 

2014年7月28日、オシュコシュ航空ショーで披露

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