夢の扉+で紹介
医学とは畑違いの農学博士:鈴木幸一(岩手大学)
専門は繭から生糸が取れるカイコ
蚕のさなぎに菌を植え付けて作るカイコ冬虫夏草
●メカニズム
2010年、鈴木はカイコ冬虫夏草が
老化したマウスの脳を回復することを発見した
傷ついた神経細胞にできる瘡蓋のようなグリオーシス
これがあると神経の伝達が悪くなってしまう
カイコ冬虫夏草を与えたマウスはグリオーシスが消えた
人の認知症に応用できるかもしれない
カイコ冬虫夏草に含まれる何らかの物質が
脳へ運ばれると栄養細胞が増え、患部に栄養を送る
するとグリオーシスが消え、
神経の伝達がよくなり認知機能の改善につながるのでは?
鈴木は、カイコ冬虫夏草の1万種もの物質から、
その最有力候補を突き止めた
まだ名前は付けられていない
●臨床試験
2013年に岩手医科大学附属病院で、
鈴木の仮説を実証すべく先行臨床試験が行われた
担当したのは寺山靖夫 教授
認知症治療薬を服用中のアルツハイマー型 認知症患者9名
そのうちの4人にカイコ冬虫夏草を服用してもらった
髄液を採取してアセチルコリンの量を比較
認知症の人はアセチルコリンの量が減っていることが分かっている
半年後、カイコ冬虫夏草を飲んでいる群の方が、
統計的に優位にアセチルコリンが増えていた
さらに2014年9月、臨床試験が行われた
アルツハイマー型認知症を診断された男性の症状は、
計算力の低下や新しいことが覚えられない
カイコ冬虫夏草の粉末を1日2回服用
服用を始めて3か月、1万円札でしか会計できなかった男性は、
きちんと小銭で支払うことができるようになった
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