●土の健康診断で有機野菜栽培を容易に

立命館大学 生命科学部:久保幹 教授

農業の基本は土

久保はそれを科学的分析を行い、

農作物に最適な土壌を作り出す

 

・SOFIX(ソフィックス)

久保が独自に開発した土壌肥沃度診断

田畑の土の状況を科学的に分析する土の健康診断

久保が注目したのは、土の中の微生物

その数が多いほど土の健康状態が良いという

田畑に与えた有機肥料は微生物のエサになる

微生物がそれを窒素やリン、カリウムなどの無機物に分解すると

作物が栄養素として吸収

有機肥料は微生物も作物も元気にする

一方、窒素やリン、カリウムなどの化学肥料を直接与えると

作物を育てる即効性はあるが、微生物のエサにはならない

そのため微生物の数が増える事はない

 

微生物の多い畑で育ったトマトは

1か月経ってもみずみずしいという実験結果も

 

しかし有機肥料の畑にもデメリットはある

収穫量が安定せず再現性が低い

有機農業は教えるのも教わるのも難しく、長年の経験と勘が必要

常に土の状態を見極めなければならない

久保は土1g中にいる全ての微生物のDNAを取り出す事で

その数を引き出す事に成功した

そして土の状態をグラフ化、微生物の数とバランスを青い三角形で表示

同時に土の成分も分析

そうした健康状態を取り戻した土はサラサラでフカフカ

収穫量が増えたトマトは、

抗酸化作用があるリコピンと旨み成分のグルタミン酸が通常の2倍

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日本では成人の10人に1人が深刻な睡眠障害を患っている

 

しかし既存の睡眠薬には、依存症や意識障害などの副作用がある

 

その常識を覆し、副作用が少ない不眠症治療薬が開発された

不眠症治療薬「ベルソムラ」(スボレキサント)

販売:メルク・アンド・カンパニー

 

この新薬の基礎理論を確立したのが、筑波大学の日本人研究者

睡眠科学の世界的権威:柳沢正史 教授

(国際統合睡眠医科学研究機構 機構長)

 

1996年、テキサス大学の研究所で柳沢教授が発見したのが、

脳の奥深くで作られる神経伝達物質:オレキシン

 

オレキシンは脳を覚醒させる働きがあり、

オレキシンが増えると脳は目覚めた状態になる

逆にオレキシンが減ると眠くなるという

睡眠のスイッチの役割を果たしている

 

このオレキシンが神経細胞に伝わるのを

ブロックする事で自然に近い眠りに導くことが出来る

 

発見から18年を経てようやく実を結ぶ

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●ゴミを原子レベルで分解し消し去る水プラズマ

 

九州大学大学院 工学博士:渡辺隆行の開発

 

●水プラズマ

水100ccと電子レンジが消費するほどの電力で作り出すプラズマ

電気を通し雷のような放電を起こす

そこに水を送り込むと、原子核と電子までバラバラに分解

その状態をプラズマという

水から作るプラズマの温度は10000℃以上

鉄がプラズマに触れると原子レベルでバラバラに分解され、

一部は酸素と結びつき空気中に拡散し、消し去ってしまう

 

●ゴミ処理

日本国内で出る産業廃棄物と一般ごみの量は、年間4億2千万トン以上

中には処理が困難な有害物質もある

渡辺はプラズマで、この問題の解決を目指している

ゴミを消し去ると同時に水素が発生する、渡辺は

それを回収しエネルギーとして利用する構想している

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●ガソリンの代わりになる未来の燃料粉

 

東京理科大学工学部電気電子情報工学科:星伸一 教授

 

それは、水素を作る粉:水素ホウ素ナトリウム

 

粉と水を混ぜる事で水素を発生させ、

水素燃料電池自動車の実現を目指している

 

1gの粉に対し、約2.4リットルの水素が発生する

 

圧縮した気体の水素をタンクに入れて酸素との化学反応によって発電

そのエネルギーでモーターを回す水素燃料電池自動車

 

しかし水素を溜めておくタンクが大きいことと、

水素を補給するステーション建設にお金がかかる

さらに水素はとても燃えやすく保存が大変

 

しかし星教授の粉末を使うとその問題が全て解決する

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夢の扉+で紹介

 

内科医であり世界屈指の科学者:児玉龍彦(東京大学教授)

副作用だけを抑え、がん細胞だけを攻撃する新薬の開発に挑んでいる

児玉は新薬を開発するため、

スーパーコンピューター京と最先端分野のスペシャリストを結集させた

 

●なぜ抗がん剤は辛い副作用をもたらすのか?

人の体は無数の細胞でできている

その細胞の中にある遺伝子に

何らかの原因で傷がつくと制限なく細胞が増殖を続ける

抗がん剤は盛んに増殖する細胞をめがけ攻撃する

しかしその細胞ががんではない事も

皮膚、毛髪、骨髄の細胞は正常な状態でも活発に増殖する

そうして正常な細胞にもダメージを与えてしまう

これが副作用の原因

 

●副作用だけを抑え、がん細胞だけを攻撃する新薬

開発するのは性質の違う2つの薬

1つ目はがん細胞を見つけ出しくっつく

次に2つ目がその薬と合体、がんを攻撃

薬にチームプレイをさせる画期的な考え

 

結ばれてこそ力を発揮するがん治療薬を

児玉は愛の神:キューピットと彼に恋する娘:プシケの愛の抱擁に例えた

 

タンパク質工学のスペシャリスト:杉山暁 助教授はキューピット担当

少しでもがん細胞とくっつきやすいタイプのタンパク質を開発

 

薬学のスペシャリスト:清水洋平 特任助教授は がんを攻撃するプシケを担当

プシケのがんを攻撃する力を少しでも高める

 

極小の世界を解析するスペシャリスト:溝端栄一 助教授(大阪大)が

薬の合体の設計を助ける

プシケとキューピットの結晶を作り、X線を当て姿をはっきりと捉える

2つが結合した大きさは1/20万㎜

 

分子シミュレーションのスペシャリスト:篠田恵子 特任助教授が、

スパーコンピューターを用い、大阪大が明らかにした結晶構造を基に

プシケとキューピットが体内でどう合体しているか?をシミュレーション

 

これが世界が注目するスパコン創薬

 

篠田はキューピットやプシケの形や動きを少しずつ変え、

一番がん細胞に有効なタイプを探っていく

 

まずは大腸がん向けの薬で特許を出願、10年以内の実用化を目指している

全身に転移したがんの治療薬としても期待がされている

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所さんの学校じゃ教えてくれないそこんトコロ!で紹介

 

●どこからでも切れる袋:マジックカット

切り口がないのに何処からでもキレイに簡単に切れるマジックカット

“こちら側のどこからでも切れます”と書かれたわさびや醤油の袋

袋だけで現在までの売り上げは100億円を超える

マジックカットを開発したのが、

食品などの包装用フィルムやプラスチック容器を製造する旭化成パックス

 

●どこからでも切れる仕組み

袋の端には小さな切れ目があり、

引っ張るだけで小さな傷から裂け目ができ、次の傷へとつながる

それが切れ目となって開くという仕組み

開発期間は5年…

傷の長さ:0.5㎜、間隔:0.5㎜がマジックカットの黄金比

その傷を正確に入れるには、これまでの機械には不可能だった

傷をつけるためのローラーは、職人による手造り

傷の形が直線では一気に切れてしまうので、三日月形に

 

●開発のキッカケ

35年前、当時の専務は大阪からの出張帰りのため、新幹線の中にいた

ビールとつまみで仕事の疲れを癒すのが楽しみだった

しかし、老眼で切れ目が見つからず、おつまみの袋をどうやっても開けられない

翌日、専務は会社の技術者に自分の思いをぶつける

「指先だけで簡単に どこからでも開けられる袋は作れないか?」

袋が破れて欲しくない時には裂けない、裂きたい時には簡単に裂ける技術

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●採血だけで13種類のがんを発見する検査

 

国立がん研究センター 分子細胞治療研究:落合隆広氏によると

それは人の細胞が血液中に出す物質:マイクロRNAの解析

 

細胞が がん化するとがんの種類によってマイクロRNAの分泌量や種類が

変化することが最新の研究で明らかになった

 

1、今までは難しかった がんの早期発見が可能

2、一度の血液検査で13種類くらいのがんを発見

 

国立がん研究センターに保存されている がん患者の血液

6万5000サンプルのマイクロRNAを分析

 

食道がん、肺がん、乳がん、胃がん、肝臓がん、胆道がん、すい臓がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、肉腫、神経膠腫の日本人に発症例が多い13種類のがん

 

2018年からの実用化に向けて研究が進められている

 

今後は健康診断の血液検査の一項目としてマイクロRNAによるがん検診を実施

値段は2万円程度を想定

さらにアルツハイマー病や うつ病、自閉症なども早期発見可能となる

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度6でも鉛筆が倒れないアクティブ免震装置:ラピュタ2D

 

 

開発したのは大林組 技術研究所

 

その心臓部であるアクチュエーターが建物の揺れを打ち消す

 

例えば、地面が右に10㎝動いた場合、

アクチュエーターが建物を左に10㎝動かすというもの

 

大きな揺れが起こった場合でも、これにより建物自体が揺れない

 

アクチュエーターを制御するコンピュータは、

揺れを感知すると1/500秒の速さで指令を出す

 

商品化されているがコスト面の問題があり、採用した物件はまだない

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●氷の形を変えるアイスモールド

 

 

・大信製作所:千葉県松戸市

 

開発したのは社長の近藤信昭氏

工場の従業員は社長と姉の2人だけ

 

アイスモールドの本体は熱伝導率が良いアルミ

氷がアルミに接すると、

氷の持つ熱量がアルミに吸収されるため接した部分の氷が溶ける

上下のアルミがくっついた時、型通りの氷が残る

 

これを世界のウィスキーの展示会に出品したところ

スコットランドの人気ウィスキーメーカーが注目

今では世界の高級ホテルをはじめ、20カ国以上から注文が殺到している

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●日本初の民間ジェット機:ホンダジェット

・ホンダ・エアクラフト・カンパニーのCEO:藤野道格

ビジネスジェットと呼ばれる小型飛行機で定員は6名

 

 

1984年、大学を卒業した藤野は本田技研工業に入社

その頃、会社が始めたのがジェット機開発

 

1986年、基礎技術研究センターを設立し、飛行機の開発を本格的にスタート

会社のエンブレムの翼は、「いつかは空へ」という創業者:本田宗一郎の夢でもあった

入社2年目の藤野は、ジェット機開発のプロジェクトメンバーに抜擢された

藤野はプロジェクトの拠点となるアメリカに渡る

 

1993年、実験機MH-02の飛行に成功

ところがバブル崩壊後の急速な円高と日米の経済摩擦により、

手応えを感じ始めていたジェット機開発が中止の危機に

 

プロジェクトの継続のため藤野は資料を作成し経営会議に乗り込み、

世界で急速に伸び始めていたビジネスジェットの開発を提案

 

●エンジンの位置

それまでのビジネスジェットのエンジンは胴体に取り付けるのが常識

エンジンを支える部品があり機内の後方スペースが狭い

藤野は、そのエンジンを翼に乗せた

翼にエンジンを乗せると胴体の内側で支える必要がなくなり機内後方を広々と使える

さらに風洞実験により燃費や速度の向上につながることも分かった

燃費の良いコンパクトな機体、それでいてゆったりとした客室を実現

 

1999年、藤野はホンダ・エアクラフト・カンパニーの社長に就任

 

2003年、翼の上にエンジンを置いた実験機が完成

 

2012年、米国航空宇宙学会 エアクラフト・デザイン・アワード受賞

 

2014年7月28日、オシュコシュ航空ショーで披露

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