夢の扉+で紹介された肥満治療薬
ウミウシから発見されたドレスタチン10は、抗がん作用が確認されている
クロイソカイメンから発見した抗がん物質は、乳がんの治療薬開発につながった
様々な新薬をは開発してきた神奈川大学理学部 上村大輔 教授
現在、身体に溜まった脂肪に直接働きかける肥満治療薬は存在しない
●藍藻から抽出したヨシノンAを基に開発される肥満治療薬
30億年も前から地球に存在する原始生物:藍藻
サンゴや岩に付着して生息する藻の一種
原始地球に酸素を作り出した生物の源ともいえる海洋生物
上村は長年の研究から薬の成分は、
海洋生物が食べたエサの中に含まれてると考えた
そこで食物連鎖の末端である藍藻に注目
レプトリングビアは、サンゴの上に薄らと付着する一見 石に見えるモノ
温暖なサンゴ礁海域に生息し、普段は魚や貝などに捕食される
藍藻から物質を取り出すには、細かく粉砕し、ろ過する
いくつもの物質が混在した中から、肥満治療に役立つ物質を探し出す
取り出した物質を培養したマウスの脂肪細胞に投与し、その反応を確かめていく
その結果、脂肪を消滅させる物質を発見
上村が見つけ出した新物質をシャーレの脂肪細胞に投与すると、
赤く色づけした脂肪分が、見る見るうちに減り、6日で65%も消滅した
上村は、その物質をヨシノンAと名付けた
しかし海洋生物から得られる物質の量は、少ない
そこでヨシノンAの化学構造を解明し、
代わりとなるそっくりな物質を見つけ、マウス実験に移行
高脂肪食を与えた群、高脂肪食+実験物質を与えた群、
通常のエサを与えた群に分け、5週間観察したところ、
実験物質を摂取した群は、通常のエサの群と同じ体重変化を示した
さらに脂肪の量を計測したところ、
実験物質を食べた群の数値が、一番低くなった
これによりマウスに肥満進行を抑制できることが実証された
上村は、人への臨床試験を5年後に目標を定めた
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