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近畿大学水産研究所が生み出した近大マグロ

 

●クロマグロの完全養殖に成功した近畿大学

親魚の卵が孵化して成魚になり、その成魚が再び産卵する完全養殖

完全養殖のクロマグロを作り出したのが、熊井英水

1970年、マグロを飼育するための生態もそれほど分かっていない時代

クロマグロの完全養殖の研究を開始した

 

●卵から孵化した直後の謎の死

最も困難を決めたのが、卵が孵化した後の20日間

孵化したばかりの仔魚が謎の死を繰り返す

 

・浮上死:水中ポンプの影響でし水面に浮かんだ仔魚が、

自分の泳ぐ力では水面の表面張力から抜け出せなくなり死ぬ現象

浮上死を防ぐために、水槽の表面に魚油の膜を張り、表面張力を弱めた

 

・沈降死:仔魚が水槽の底に衝突し死んでしまう現象

沈降死を防ぐために、水槽の塩分濃度を調整、

さらに水中ポンプで水流の調整も行い、仔魚が沈まないようにした

 

・共食い

魚の共食いするを防ぐために数千匹もいる魚をサイズごとに選別

さらに生きている他の魚をエサとして与える事で共食いを防いだ

 

●解決するまで10年も費やした 配合飼料で成長しない

自然界の天然クロマグロは、生きている魚を食べて成長する

1キロ体重を増やすのに15キロの食事が必要

近畿大学では、サバやイワシを乾燥させた魚粉を

固形にした配合飼料を与えたが、クロマグロは全く成長しなかった

 

研究で明らかになったのは、クロマグロは孵化から3ヵ月間、

幽門垂と言われる消化酵素を分泌する器官が、完成しない

そのため加熱された魚粉のタンパク質を

分解する酵素が少なく、成長しなかった

 

解決するため、世界中の様々な魚粉を取り寄せ、

酵素処理された消化吸収しやすい魚粉を発見

その魚粉を使った配合飼料を与え、無事に成長するようになった

 

●結果

1995年と1996年に生まれたクロマグロがついに産卵し、

2002年6月23日、世界初のクロマグロの完全養殖に成功

 

現在、熊井と共に研究を続けてきた澤田好史 教授は、

キハダマグロの完全養殖に挑戦している

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