水産技術」カテゴリーアーカイブ

●大規模沖合いけす
それは、通常の3倍以上のサイズの縦横30m
これまでの養殖とは違い、湾の外 沖合に設置される
天然に近い環境でより美味しい魚に育てる
 
大型いけすが沈められるのは、水深15m
波や赤潮の影響を受けにくい
さらに天然のブリが暮らす深さと同じ
水上に浮かせるときは、タンクに空気を送る
稚魚をいけすに入れると、魚が逃げないように網で蓋をする
空気を抜けば、ゆっくりと水深15mの位置まで沈んでいく
 
実証実験には、近畿大学 農学部水産学科も参加
1.5キロのブリの稚魚を1年で5キロまで成長させる
一部の稚魚にセンサーを付け、行動を記録
湾内のいけすと沖合の大型いけすの成長の違いを調査する
 
●自動エサやりシステム
海上にエサ貯蔵施設を造り、
タンクから圧縮空気で送り出され、
海底の配管を通って、いけすに送られる
タブレット端末でエサを上げたり、その状況を確認できる
海の状態が荒れても、陸上からエサを与えることができる

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●淡水魚と海水魚が共存できる好適環境水
 
岡山理科大学 山本俊政 准教授の研究
海がない場所でも海水魚が養殖できる技術
淡水魚も海水魚も水から取り込まなければいけない必要な成分は決まっている
淡水魚と海水魚に共通する生きていくうえで最低限 必要な成分を突き止めた
それはナトリウム、カリウム、カルシウム
これらの成分を基に好適環境水は作られた
 
さらに研究の結果、始めてから10年間、一度も病気をしていない
塩分濃度が海水より薄く、限りなく淡水に近い特殊な環境のため
病原体が繁殖しにくい
 
これまで好適環境水を使って、トラフグ、ヒラメ、
ウナギ、クエ、クロマグロなどの養殖に成功
 
そして現在、ブラックタイガーの養殖を研究している

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●マグロをサバに産ませる代理親魚養殖技術
 
東京海洋大学 海洋生物資源学科:吉崎悟朗 教授の研究
 
サバにマグロの生殖細胞を移植し、
マグロをサバに産ませる研究をしている
 
すでにヤマメをニジマスに産ませたり、
トラフグを小さいクサフグに産ませることに成功している
 
この技術を使えば、絶滅しそうな魚を守ることができる
卵と精子の元の細胞を半永久的に冷凍保存できる
絶滅しても解凍して別の魚に移植すればいつでもその魚が蘇る

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東京大学農学生命科学研究科 細谷将の研究チームが開発

 

●100%フグのオスが生まれる養殖技術

 

フグも人間と同じで性染色体がXYならばオス、XXならばメス

 

オスに女性ホルモンを混ぜたエサを与え、

オスなのに卵が産める偽メスをつくりあげる

偽メスと普通のオスを交配させて

通常ではありえないYYの染色体を持つ超オスを誕生させた

超オスと交配して生まれてくる子供は、

必ずXYの染色体になり、通常のオスしか生まれなくなる

 

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2013年、青森県八戸水産高校が

ヒラメを冬眠させる実験を日本で初めて成功させた

 

積水化成品工業は、その技術を応用し、

宮城大学 君塚准教授の協力を得て完成させた

 

氷温庫の冷たい水で眠らせて1日経つとヒラメは冬眠する

 

ヒラメの形にハマるように作られた内側の容器

ヒラメを設置して発泡スチロールの箱で蓋をし、酸素を注入

ヒラメは酸素があれば、皮膚呼吸で24時間生きていける

海水に入れると冬眠から目覚める

 

水有眠らせずに輸送したヒラメより、

冬眠ヒラメの方が、ストレスがかからず

旨み成分が5倍も高いという

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●1年前の牡蠣が食べられるCAS付き冷凍庫の冷凍保存

アビー(千葉県流山市)が開発したCAS付き冷凍庫

 

凍らせるだけでなく電子、パルス磁界、X波、電界、

磁界、粗密波、光などなど8つの力を加えて鮮度を保つ

 

元々のアイデアは、過冷却水

過冷却水をヒントにCAS付き冷凍庫を開発した

CAS付き冷凍庫で冷凍する事で

獲った時の鮮度に近い状態のまま保存できる

 

4年前に冷凍したタコを解凍すると吸盤が指に吸い付いた

3ヵ月前に冷凍したタコだとさらに強く吸い付く

生命体は死んでいるが、細胞は生きている事が分かる

 

さらに完成した料理を冷凍し、そのまま保存できるようになった

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●魚を仮眠化して新鮮に保つノバフレッシュ

開発したのは富士商工:永井慎

 

まずは魚を生きたままノバフレッシュに入れて

酸素、窒素、二酸化炭素を加え、

50分加圧すると魚は仮眠状態になる

 

配送を想定して氷水で冷却、布に包んで冷蔵庫に保存

 

通常 水がないので魚は死んでしまうはずだが、

眠らせた魚を再度 ノバフレッシュに入れて

再加圧することで魚は覚醒するという

 

まだ研究段階だが、この技術を使えば、

魚を生きたまま世界へ輸送できる

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近畿大学水産研究所が生み出した近大マグロ

 

●クロマグロの完全養殖に成功した近畿大学

親魚の卵が孵化して成魚になり、その成魚が再び産卵する完全養殖

完全養殖のクロマグロを作り出したのが、熊井英水

1970年、マグロを飼育するための生態もそれほど分かっていない時代

クロマグロの完全養殖の研究を開始した

 

●卵から孵化した直後の謎の死

最も困難を決めたのが、卵が孵化した後の20日間

孵化したばかりの仔魚が謎の死を繰り返す

 

・浮上死:水中ポンプの影響でし水面に浮かんだ仔魚が、

自分の泳ぐ力では水面の表面張力から抜け出せなくなり死ぬ現象

浮上死を防ぐために、水槽の表面に魚油の膜を張り、表面張力を弱めた

 

・沈降死:仔魚が水槽の底に衝突し死んでしまう現象

沈降死を防ぐために、水槽の塩分濃度を調整、

さらに水中ポンプで水流の調整も行い、仔魚が沈まないようにした

 

・共食い

魚の共食いするを防ぐために数千匹もいる魚をサイズごとに選別

さらに生きている他の魚をエサとして与える事で共食いを防いだ

 

●解決するまで10年も費やした 配合飼料で成長しない

自然界の天然クロマグロは、生きている魚を食べて成長する

1キロ体重を増やすのに15キロの食事が必要

近畿大学では、サバやイワシを乾燥させた魚粉を

固形にした配合飼料を与えたが、クロマグロは全く成長しなかった

 

研究で明らかになったのは、クロマグロは孵化から3ヵ月間、

幽門垂と言われる消化酵素を分泌する器官が、完成しない

そのため加熱された魚粉のタンパク質を

分解する酵素が少なく、成長しなかった

 

解決するため、世界中の様々な魚粉を取り寄せ、

酵素処理された消化吸収しやすい魚粉を発見

その魚粉を使った配合飼料を与え、無事に成長するようになった

 

●結果

1995年と1996年に生まれたクロマグロがついに産卵し、

2002年6月23日、世界初のクロマグロの完全養殖に成功

 

現在、熊井と共に研究を続けてきた澤田好史 教授は、

キハダマグロの完全養殖に挑戦している

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●レーザーで魚の鮮度が分かる装置

 

東洋大学 生体医工学科が開発

 

魚の目に緑色のレーザーを照射し、鮮度を測る

 

20.0以上は生では食べられない

 

レーザーで見ているのは魚の目の濁り具合

 

魚の目の水晶体は、死後 少しずつ白く濁っていく

 

その性質を利用してレーザーを

目に当てる事で鮮度を割り出している

2015年に水産業者向けに販売される

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ガイアの夜明けで紹介された魚の価値を高める驚きの技術

それはマーズカンパニーの魔法の氷

魚の鮮度を保つ特殊な氷:シースノー

魚は0℃以上になると腐るスイッチが入る

逆にマイナス2℃以下になると凍り始めてしまう

シースノーを使う事によって

マイナス1℃を中心に魚の温度をキープしてくれる

 

塩分1%の水を徐々に凍らせ結晶を作る

その結晶から余分な水分を抜く事でマイナス1℃を維持する氷となる

シースノーで3日間保存した魚と通常の氷で保存した魚の鮮度を比較

 

獲れたての鮮度が15.0だったのに対し、

通常の氷で保存した魚は10.0、シースノーで保存した魚は14.5、

ほとんど獲れたてと変わらない数値を示す

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